※読む前に要注意


今回は前半がややグロイうえに、なんか死んでます。
その上、こいしとさとりんの絡みが超アレで、軽く12禁か15禁。


それでもおkと言う方はどうぞ↓













「はっ!はっ!はっ・・・!」


私は今、急いでいた。

地霊殿のエントランスへ急いでいた。

ペット達が集うあそこへ急いでいた。


何故なら、そこからペット達の悲鳴が聞こえたから。


「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!」


また聞こえた。
今のは空の声だ。

早く行かないと・・・



早く行かないと手遅れになる。




そんな気がして、私はエントランスに向かって走る足を速めた。







それから、何分くらい走っただろうか?
私は息を切らしながら、エントランスに着く。

それからすぐに呼吸を整え、「何があったの?!」とペット達に呼びかける。

けど・・・



「こ、これは・・・!?」


私の目に信じられない光景が飛び込んできた。

私の目の前で、犬、猫、鳥、蛇など、今まで拾ってきたペット達が、みな肉を裂かれ、血まみれになって死んでいた。
その血は、元々赤の多めな地霊殿の床を更に濃い赤に染め上げていた。

部屋中にペット達の血の匂いが立ち込める。
物言わぬ屍と化したペットの姿を見るだけでもキツかった私は、吐き気と目まいを覚える。

そんな私は、ふと前を見る。

すると、そこには恐らく一番見たくないものがあった。


「う、空・・・!」


そう、それは霊烏路 空。
彼女も他のペット同様、その身を真っ赤に染めて倒れていた。

私は彼女に歩み寄り、更にその姿を確認してみる。

今の彼女の姿は、むごい有様だった。
制御棒を持つ右手は引きちぎられ、マントは引き裂かれ、
羽根のほとんどをむしり取られており、
そのせいか彼女の周りには、黒い羽が散乱していた。


「空・・・」


私は、彼女の手を触ってみる。


冷たい・・・


何とかして背の高い体を持ち上げ、抱きしめてみる。


冷たい・・・


顔を見てみる。


目は開いたままだが、その瞳に光は無く、口から血がたれた跡が残っている。


頬を撫でてみる。


やはり冷たく、空は顔は壊れた人形のように表情1つ変えず、何の反応も示さない。


当然だ、彼女はもう死んでいる。

核の炎をその身に宿した彼女は、今その炎が燃え尽きた・・・
否、無理矢理消された、そんな感じなのだ。


その事実に私は、辛くなって涙を流した。

心の底から溢れ出たそれは、第三の目からも大粒の涙を流させる。


そして、並々ならぬ怒りが心の置くから湧き上がってくる。


いったい、誰がこんな酷い事を?
誰が空やペット達を、こんな姿に?

許せない・・・

絶対に許せない・・・


殺してやる。



例え相手が生きている者であろうが、関係無い。

殺してやる。



元々生き物殺しは好きではない。
けどその者は、私の大切な家族を殺したのだ。
こればかりは殺さなければ気がすまない。

私の家族を殺した罪を、死を持って償って貰わなければ、気がすまない。





「い・・・さま・・・!止めてください・・・!」




私がそう考えた矢先、向こうの壁の向こうで、燐の声が聞こえた。

声から察するに、犯人に襲われているのであろう。

不謹慎である事は分かってはいたが、この時私は嬉しくなった。


早くも犯人に会えるのだから。


そうと分かった私は、
早く犯人にショック死するほど恐ろしいトラウマを見せてやりたくてうずうずしながら、
燐の悲鳴が聞こえた所へ足を進める。


そして、しばらく進んでようやく犯人がいるであろう、壁の向こうに私は差し掛かった。

だが・・・





「うぅ・・・こんな事・・・や、止めてくだ・・・」


犯人に首根っこを掴まれていた燐は、そう言い残すと力尽き、
犯人はそれを見ると首を掴む手を放す。

手を放された燐は、床にドスンと音を立てながら力無く倒れる。
そんな彼女を見下ろしながら、犯人はこう言った。


「ごめんねお燐。
貴女はお姉ちゃんのペットの中で特に大好きなんだけど、
お姉ちゃんを手に入れる為には、こうするしかなかったんだ。
だから悪く思わないでね」

「え・・・?」


犯人のその声、その姿には覚えがあった。
それは、忘れたくても忘れたくない、私の唯一の血の繋がりがある家族・・・


「こ、こいし?」


私の妹だったのだ。


「あ、お姉ちゃん!」


私の声に反応し、こいしはこちらを見て私の事を呼ぶ。
いつも通りの反応のはずなのだが、今日は違った。

何故なら、今の彼女の顔や黄色い服は、血で赤く汚れていた。



しかし、今の彼女は特に傷付いている様子は無い。

だとすれば、妹を赤く染めている血は、いったい誰のものなのか?


答えは簡単。


返り血だ。


エントランスに集まったペットを殺した際に着いた、彼らの返り血だ。

状況から見て、そうとしか考えられない。


信じたくは無かった。

だが、彼女は私の目の前で燐を絞め殺した。

こんな光景を見せられて、それでも信じない何て言いたくは無かった。


しかし、同時に疑問が浮かぶ。


何故、こいしがペットを殺したのか?

昨日まで、あんなに仲良くしていたのに・・・



「お姉ちゃん、丁度よかった。今からお姉ちゃんの所に行こうとしてたんだ」

「そんな事はどうだって良いわ!こいし、ここにいるペットを殺したのは、貴女なの?」

「そうだよ?それがどうしたの?」

「何で・・・何で、こんな酷い事を・・・!」


燐を殺した直後であるにも関わらず、
いつも通りの表情で、
そして当たり前のような口調で喋るこしいに対し、
私はそんな疑問をぶつけた。

すると、彼女はこう言ってきた。


「酷い?お姉ちゃんの方こそ酷いよ」

「私の方が酷い・・・?」


意味が分からなかった。

私は今日まで、こいしには出来る限りの愛情を注いで来た。
彼女にしてやれる事は、なんだってしてきた。

それなのに、何が酷いのだろうか?

何が不満なのだろうか?


やはり分からない。私はこいしに酷い事をした覚えは無い。

ペットを殺したこいしの方が酷いに決まっている。


だから私は、強く言い返した。


「私は酷くないわ。酷いのは貴女よ、こいし!」

「私・・・?」

「ええ、そうよ。
貴女は、私が大切に飼っていたペットを・・・
大切な家族を殺した。
いくら殺戮が好きな貴女でも、これは許されざる行為だと言う事くらい、分かっているはず。
なのに・・・なのになんで・・・?!」


喋っている内にまた辛くなり、私は涙を流す。


「お姉ちゃん、泣いてるの?」

「当然よ・・・家族を殺された挙句、その犯人が貴女だったなんて・・・辛くない訳、無いわ・・・!」

「ふぅん・・・」


私の様子に、こいしは素っ気無い反応を見せる。
これに私は、一瞬殺意に似たようなものを覚えたが、すぐに抑える。

先程まで犯人を殺してやろうなどと考えていたのが、自分でも嘘のようだ。

でも、さすがに妹までは殺す気にはなれない。
彼女は、私の唯一の肉親・・・
恐らく、人生で一番の宝物にも近いかもしれない・・・

そんな妹の命を取るなんて、私には到底出来ない。

この子は私と比べるとまだ若く、幼い。それ故に、彼女には最後まで生きて欲しい。
例え、私自身がどうなろうと、死ぬまで守り抜きたい・・・


そう考えていた、その時だった。


「じゃあ、今お姉ちゃんは、その、えっと・・・」


今の私の感情を言いたいのだろうが、
心を閉じて感情が薄れ、
好き嫌い以外に関する感情を何と呼べば良いのか忘れてしまったこいしは、
私がどのような感情に苛まれているのか、言葉で表現できず、言葉に詰まる。


「"悲しい"よ・・・」


涙ぐんだ声で教える私。
本当に、この子はいい加減、好き嫌い以外の感情に関する言葉を、忘れないで欲しい。

いつもいつも、このように言って思い出させてあげているのだから。


「あ、そうそう。お姉ちゃん、今悲しいんだよね?」


私の言った事を聞いて、悲しいの感情を思い出してそう言ってくるこいし。
これに私は「そうよ」と返すのだが、またしても疑問が浮かぶ。

いったい、こいしはこんな事を聞いて、どうする気なのだろうか?

私がそう思った矢先に、こいしはこう言った。


「そう。でも、その悲しみは私より、ペットに向けたものでしょう?」

「え・・・?」


この子は何を言っているのだろうか?
彼女の言う事は間違ってはいない。
確かにこの悲しみは、殺されたペットに対するものの方が大きい。
間違ってはいないが、今のこいしが言っている事は、さっきから何かおかしい。


「困るよね。その涙は私の為に流してくれないと・・・」

「こいし、何を言ってるの・・・?」

「つまんないよね。お姉ちゃんはペットの事ばっかで・・・」


分からない。ますます意味が分からない。

そんな私を知ってか知らないか、こいしは続ける。


「だから私は気付いたんだ。ペットがいるから私の事を見てくれないって」

「私が、貴女の事を見ていない?」

「そう。お姉ちゃんは放任主義の癖して、ペットの事ばかり。だから殺したの」

「そいれはつまり、私に構って欲しかったの?」


もしそうだとしたら、こんな事おかしい。
単純に私に構って欲しかっただけだったのなら、
もう少しまともな事をして欲しい。

ペットを殺すなんてやりすぎだ。


「そんな程度じゃないよ、お姉ちゃん」


だが、こいしは私の問い掛けにそう答えた。

そんな程度じゃない?


「どう言う意味?」

「どうもこうもお姉ちゃん、私の事妹って目で見てるでしょ?」

「はあ?」


今度は何を言い出すのかと思ったら・・・

こいしは私の妹、だからそう言う目で見るのは当たり前なのに。


「どうなの?」


これにも答えて欲しいらしく、こいしは聞いてくる。

それに私は、無難に「そうよ」と答えた。

すると彼女はこう言った。


「やっぱりね・・・お姉ちゃんは私の事をその程度の目でしか見てなかったんだ・・・」

「え?・・・!?」


その声が聞こえた途端、私はいつの間にかこいしに押し倒されていた。

こうなるまでの感覚が全く無かったが、恐らく彼女に無意識を操られたのだろう。


「やっぱり、お姉ちゃんの方が酷いよ・・・」


私の上にいる妹は、私を見下ろしながらそう言う。

だが、相変わらずその言葉の意味は理解できない。


「え?」

「だから、お姉ちゃんの方が酷いよ・・・
私は、お姉ちゃん事大好きなのに・・・
なのに、お姉ちゃんはペットのお世話とかばっか」


お姉ちゃんは、私とペット、どっちが大事なの?


こいしはそう聞いてきた。

ペットとこいし、どっちが大事?

何を当たり前な事を・・・
どっちも大事に決まっている。

こいしもペットも、大事な家族なのだから・・・


「どっちも大事に決まっているじゃない・・・」

「ふぅん・・・」


私の答え聞いて、こいしは初めて表情1つ変えなかった顔を変える。
その顔は非常に不満に満ちた表情だった。

何かいけない事を言ったかしら?


「やっぱりお姉ちゃんにとって、私はその程度の存在なんだ」

「はあ?」

「じゃあ、やっぱりこうして正解だね」

「正解?」

「うん。お姉ちゃんは私がいくらアタックしても、全然本気にしてくれないもん」

「え・・・?」

「だからね、口で教えるのは止めた。体に直接教える事にしたの」

「体に教えるって・・・ちょ!?」


戸惑う私の青い服にこいしは手を掛けると、彼女はそれを引き裂く。
すると、私の上半身は一瞬の内に露わになる。

ピンクのブラを着けた胸以外は・・・


「い、嫌・・・!」


曝け出された自身の体に、羞恥心から思わず顔をそむける。
恐らく、今の私は顔を真っ赤にしているだろう。

だが、そんな私の様子をこいしは楽しげな顔をして上から見下ろしていた。

そして、今度はブラを着けた胸に彼女は目をやる。


「ふぅん・・・お姉ちゃんブラジャー着けてるんだ。私より胸無いのに」

「そ、そんな事・・・ひゃう!」


不意にこいしに左胸を触られ、私は思わず声を上げてしまう。

恥ずかしさと、妹の行動への悲しみから、その目から涙がこぼれる。


「あれ?ブラジャーの上から触っただけなのに・・・
うふふ、これは触りがいがあるかもしれないわね」

「こ、こいし・・・!」

「うん?」

「もう止めて・・・!こんなの、おかしい・・・!」


私は、半ば涙声で訴える。

一方で、こいしはこれを待っていたと言わんばかりの顔をして、こう答えた。


「やっと私の為の涙を流してくれたね。良いよ、泣いてくれたから止めてあげるよ。ただし・・・」

「ただし・・・?」




「私を殺せたらね」




「え・・・?」


今、こいしはなんと?


私を殺せたら?


それは自分を殺せと言う事か?
彼女は本気でそう言ってるのか?
心を閉じた彼女の心が読めない私には、分からない。

だが、これだけは言える。

最愛の妹を殺す何て、出来ない・・・!


「どうしたの?早く殺ってよ」

「残念だけど、それは出来ないわ・・・」

「え?なんで?」

「だって、アナタは私の大切な妹・・・それを殺すなんて、出来ない・・・」

「ふぅん・・・」


相変わらず表情1つ変えず、素っ気なく返す妹。

そしてこの後、彼女は信じられない事を口にした。


「でもさあ、お姉ちゃん。
さっき私に殺されたペットを見て、犯人を殺してやろうって思ったでしょ?
死をもって償ってもらうって思ったでしょ?」

「え!?」


余りにも正確な事を言って来たこいしに、私は驚き、目を見開く。

何故彼女は、その事を知っているのだろうか?

まさか、私の心を?

でも、こいしの第三の目はその瞳は相変わらず閉じられたままなうえに、
もしも彼女がその目を開いていたのなら、こいしの心を読めているはずだ。


そんな私の疑問に答えるかのごとく、こいしはこう言って来た。


「どうしたの?私は覚りの目何か、これっぽっちも開けてないよ」

「けど、なんで私の考えている事を・・・?」

「お姉ちゃんがそう言う性格してるからだよ。
お姉ちゃん、私やペットが傷付けられたら、物凄く・・・えっと・・・」

「"怒る"」

「そう!お姉ちゃん、物凄く怒るじゃない。だから分かったの」

「そうだったの・・・」


この時、こいしは長年一緒にいる私が何をされるとどうなるかを、
きちんと把握しているのだと思い、感心したが、今はそんな事を考えている状況じゃなかった。

少なくとも、今のこいしは私の体でよからぬ事をしようと企んでいるのは、目に見えて明らか。
心を読むまでも無い。

このままではまずい・・・

私は何とかして、ここから抜け出したかった。


だが、今の自分の状況を良く見て見ると、今私は絶望的な状況下にいる事に気付く。

私は今、床に押し倒されていて、その上にはこいしがいる。
どう見ても逃げられるようには見えない。

私のすぐ横にある腕を退けようにも、
こいしは私よりもはるかに腕力が高い。
抵抗してもビクともしないだろう。

燐を殺した時に、少しは攻撃しておけば良かったと私は後悔した。


「さ、そんな事よりも、
お姉ちゃんは止めてもらう気ゼロみたいだから、そろそろ頂こうかな?」

「こいし、止めて・・・」

「何処からにしようかなぁ?
お姉ちゃんの体、見ない内に随分綺麗になってるから、何処も美味しそう・・・」

「止めなさい!」


私は抗議するも、こいしは聞こえないフリをしているのか、
私の声を無視して私の体の何処からいじろうかと、迷っている。

まるで、ケーキのどの辺りから食べようかと迷う、子供のように・・・


「う〜ん・・・やっぱりここは、上の方から順番に頂くのがセオリーだよねぇ」


そう言って彼女は、私の顔を見る。

その目を見た瞬間、私は背筋に寒気が走った。


この子は奪う気だ。

私の唇を奪う気だ。


「嫌!止めて!」


それを知ると、私は叫びながら抵抗を始めた。
無駄だと分かっているが、抵抗せずにはいられなかった。

本来、キスと言うものは、男女が交わすもの・・・

姉妹で、しかも女性同士だなんておかしい。


「あ、お姉ちゃん嫌がってる。クスクス、可愛い・・・」


そして、その抵抗は無駄と言うよりかは、こいしには逆効果だった。
彼女は、私が暴れ、振り払おうとする姿を見て、「可愛い」と称して楽しげに笑っていた。

だが、やはり暴れられると困るからなのか、彼女は私の体の上にその身を乗せると
上半身を私の顔の方に少しだけ下げ、
ブンブンと振る私の顔に両腕を伸ばし、その顔を掴んで固定する。

私は振りほどこうと、その腕を殴った。

だが、非力な私の腕ではこいしの腕はビクともしない。


次にこいしは、私の唇を奪おうと、顔を近づけ始める。

私は顔をそむけようとするが、異様な両手の力で押さえ付けられて出来ない。


なんで?どうして?


どうして私がこんな事をされないといけないのか?

私がこいしに何をしたと言うのだろうか?

少なくとも、私がペットばかりに構っていた事に不満を持っていた事だけが、動機ではなさそうだ。

じゃあ、他にどんな理由が?



そう思い考えてみると、彼女が言っていた言葉が思い浮かぶ。


「やっぱりお姉ちゃんにとって、私はその程度の存在なんだ」

「私がいくらアタックしても、全然本気にしてくれないもん」


恐らく、この言葉が、今回のこいしの行動と関係しているのだろう。

だが、私には分からない・・・

彼女には精一杯の愛情を注いだ。何一つ軽い存在として彼女を見た覚えは無い。

それに後者は?
心当たりは無い。

確かに、こいしは時々私に対しておかしな素振りは見せる事はあるが・・・


と、考えている内に、こいしの顔は私のすぐ目の前まで迫っていた。


「もう止めて!お願い!」


涙ぐんだ顔で叫んでも、やはり効果は無い。

そして、後もう少しで唇が触れそうになり・・・






「嫌あぁ!」


私はガバッと起き上がる。

すると、私は息を切らし、頭から汗を流した状態で、
自身の寝室のベッドにいる事に気付く。

そして、自分の体を確かめると、上半身の解放感は無い。
あるのは汗ばんだハート柄のパジャマが、べったりと肌に着いている感覚。

それを見て、私は気付いた。


「また・・・あの夢・・・」


目元に手を当てながら、私はそうこぼす。

私は、時々悪夢を見る・・・


こいしにペットを殺され、こいしに唇を奪われそうになる・・・
そんな内容の悪夢・・・

しかもその悪夢は、1回だけならまだしも、不定期に何度も見るのだ。

もちろん、内容も覚めるタイミングも、全く同じの・・・

だから私は、
地上にある永遠亭で悪夢を見なくなり快適な目覚めを行える効果がある"胡蝶夢丸"を処方してもらい、
毎晩飲んでから寝るのだが、何故かそれでも悪夢を見てしまう。


そして、今日もそうだ。


私は自分のベッドの横の机を見ると、そこには空になった薬の袋と、
薬を飲む際に使用した水が入っていたコップが置かれている。

今日もきっちりと飲んだ証拠・・・


それなのに、悪夢を見た。

何故、薬が効かないのだろうか?

薬をくれた永琳に一度相談に行った。
だが、このようなケースは余り無いから、分からないと言われた。

でも、同時にこう言う事もある時があるとも言われた。


"深層意識が深く関わっている悪夢だと、希に効かない場合がある"と・・・


じゃあ、私が見るあの悪夢は、私の深層意識が作ったもの?

そう考えると何となく、合点がいくような気がする。

あの夢は、普通の夢にしては妙にリアルで、生々しいうえに、何度も見るのだから・・・


だが、それだと次の疑問が浮かぶ。


何故こいしに襲われる夢なのか?

どうしてこいしなのか?


分からない・・・

全然分からない・・・


確かに、彼女の事が好きだ。

でも、私は彼女のあんな姿を望んではいない。

ペットを殺すどころか、私にやらしい事をするような姿なんて、望んでいない。

それなのに、あんな夢を見てしまうのは、やはり私の奥に彼女に対する強い何かがあるから?


そんなバカな・・・



ありえない。彼女はただの妹、それ以上でも以下でも無い。

私の中にあるのは、妹として彼女の姿だけ・・・


きっと、考え過ぎだ。

どんな内容だろうと、たかが夢だ。
深く考えたって何にもなりはしないし、何かがおかしくなる訳でも無い。

だが、余りにも何度も見たせいか、永琳の言葉が気になるせいか、それでも夢の内容が頭から離れなかった。


「はあ・・・」


私は溜め息を吐く。

ああ、これだと明日はこいしと顔を合わせられそうに無いかもしれない。
私が彼女に一番顔を会わせてあげないと行けないと言うのに・・・


「本当に、嫌な夢ね・・・」


悪夢に対し、私は皮肉を込めてそう呟いた。



謎が残ったけど、終わりだよ・・・






 

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