「魔理沙、早苗、本当にここなの?」

「ああ、ここだ。間違いない」

「確かにこの奥で集まってるのを見たんです」


幻想郷の巫女博麗霊夢と東風野早苗に、人間の魔法使い霧雨魔理沙は幻想郷の何処かにある洞窟の中を進んでいた。

彼女らが何故ここにいるのかと言うと、先週末に魔理沙と早苗がたまたま見かけた小傘とメディスンが、
この洞窟の中に入っていくのを見かけ、後を追ってみたらその奥で見慣れない3人と密会のような事をしていたのを、見かけたのだ。

これに魔理沙は彼女らがお宝を隠している、
早苗は何か大きな異変をおっぱじめる準備をしているなどと推測し、何かしらの調査が必要だと霊夢に申し出た。

霊夢は、まだまだ幼い小傘やメディスンがそこまで出来るとは思えないとする一方で、
見慣れない3人の事が気になり、結局調査に乗り出し、ここまで来たのである。


「あ、見えてきました。アレです」


早苗が声を上げ指差す先を見ると、奥の方から灯りが見えてくる。


「アレが…」

「今日も集まってるみたいだな」

「そのようですね」

「(ホント、何やってんのかしら?どうせ大した事じゃないんだろうけど)」


そう思いながらも、霊夢は2人と共に奥の灯りを目指す。

そして――――




「アレは…」


洞窟の奥にある、灯りの差す所まで来た霊夢達はその中を覗いてみると、
そこには何処から持って来たのか、幾つもの棚やロウソクが簡易的に並べられていた。
そしてその中央には、御座と丸いテーブルが置かれており、
そのテーブルの周りを小傘とメディスンに、魔理沙達の言う見慣れない3人が取り囲むように座って、何か話し合っていた。


「確かに、何か話し合ってるわね」

「だろう?」

「今日は何の話しをしてるんでしょうか?この前の続きかしら?」

「さあ?私はそんな事よりも、あの3人の方が気になるわね」


霊夢はそう言って、見慣れない3人を指差す。

その見慣れない3人は、都合が良い事に霊夢達側から見ると丁度正面を向いている位置にいた為、容姿や顔付きなどがはっきり見えた。

1人目は、小傘の傘を白くし、赤い模様を入れたような外見の傘を持ち、左胸に赤い目玉の館バッヂを着け、
髪や服などの青い部分が全て黒く、オッドアイの左右が逆転した小傘と瓜二つの少女。
2人目は、左手に指揮棒を持った緑のトンガリ帽子に、指揮者の格好をし、常に両目を閉じた少年。
そして3人目は、体の大部分を大きな釜に入れ、頭と手だけを出している、右目が隠れるほど長く黒い髪を持った少女であった。


「いったい、誰なのかしら?」

「う〜ん…アイツらの仲間だってのは、確かなんだけどなあ」

「そう言えば気になりますねえ。特に、小傘さんのそっくりさんが」

「それに、何で男まで混ざってるのかしら?しかもあの釜に入ってるの、キスメの物真似?」

「さあ?」


と、霊夢達がそんなやり取りをしている中、見慣れぬ3人とメディスンと話しをしていた小傘が急に立ち上がる。


「はい、それじゃあ今日はここまでね。て事で、全員解散」


そして、密会が終わったのか解散の号令を出すと、それを聞いたメディスン達も立ち上がり、釜に入っている少女も釜を浮かばせる。


「何て言ってたら、いつの間にか終わったみたいよ」

「なんだって?!」

「なら、そう簡単に帰す訳にはいきませんわよ!」


それを見た魔理沙と早苗は、急いで小傘達の所へと向かって行ってしまった。


「あ!ちょっと、待ちなさいよ!」


霊夢もいきなり飛び出して行った魔理紗と早苗の後に慌てて着いて行った。




「ちょっと帰るのは待ってくれませんか?そこの妖怪達…」


そんな事を言いながら、小傘達の前に立ち塞がる早苗と魔理沙。
一方、5人の内小傘だけ早苗達に背を向けていたため、この時点で小傘は声の主が早苗とはまだ気付いていない。


「!誰…っ!」


声の正体を確かめようと、小傘が振り向いた瞬間、自身の天敵の守矢の巫女の姿が目に入り、小傘の表情は一気に青ざめる。

そして―――



ギャアァァァァ!!早苗ぇ―――――――っ!!!


小傘は洞窟が揺れんと言わんばかりの悲鳴を上げて、腰を抜かしてしまった。

しかし、当の驚かれた本人は不服そうである。


「ちょっと何ですかその反応は?私はお化けか何かですか?」

「だだだ…だってぇ…」


ビクビクと震える小傘。
そんな彼女のそばに、見慣れない3人の内の1人である、小傘と瓜二つの少女が歩み寄る。


「全く、なーんでこの程度の事で驚くんでやすか?普通は立場逆でやしょうよ」


呆れた表情で小傘を見下ろしながら、そう言う小傘と瓜二つの少女。
そんな彼女の発言に対し、小傘はまだ脅えている様子を見せる。


「うぅ…で、でも…」

「でももモデルも無い。君は驚かす方、ワチキも驚かす方、
そしてあっちは驚かされる方なんでやすから、もうちょっと飄々堂々(ひょうひょうどうどう)とするのが基本でやんすよ?
全く、だから君は未熟者なんでやすよ」


小傘、自分、そして早苗を順番に指差しながら、小傘に基本を教える小傘と瓜二つの少女。
これに小傘はやや不機嫌そうに「悪かったわね…」と、返しながらゆっくりと立ち上がる。

そんな中、メディスンはまた別の方向で驚いていた。


「そ、そんな事より、何で守矢の巫女がここにいるのよ?!それに、魔理沙まで…」

「ちょっと…、私もいるんだけど…」


と、そこに遅れて霊夢もやって来る。
すると、それを見た小傘はまたしても驚く。


「は、博麗の巫女…!」

「守矢と博麗の巫女?それに、魔理沙?…ふ〜ん、なるほど…」


驚く小傘を尻目に、小傘と瓜二つの少女は畳んだ傘を後ろ手に持つと、霊夢達3人の姿をじっと見ながら彼女らの周りを一回りする。


「何ですか?人の事ジロジロ見て…」

「いやぁ、すまんでやんす。
まさか、毎度異変を解決してる方達に、こんな場所で会えるとは思ってもみなかったもので…」

「私達の事を知ってるのですか?」

「はい。ワチキ、天狗程ではありやせんが、結構な情報通なんで。
ま、一部は小傘から聞いたってのもありやすが…」

「そう言えば、貴女誰なんです?」

「おぉ、これは申し遅れやした。ワチキの名は"少々良大傘(じょじょら おおがさ)"。多々良小傘と同じ、から傘お化け。以後、お見知りおきを…」


大傘と名乗った少女は、そう言うと深々と丁寧なお辞儀を返す。


「少々良大傘?」

「姿どころか名前も小傘にそっくりね。アンタ達、いったいどう言う関係なの?」

「さあ、それは秘密でやんす。ねえ、小傘?」

「ええ」

「そんな事言って、実は双子の姉妹かなんかじゃないんですか?」

「さあ、どうでやしょうかねぇ〜?」


早苗の質問に、白々しく答える大傘。
その表情から、答える気は全く無いようで、小傘も同じ様子であった。

しかし、早苗は食い下がらない。


「そう言われると余計気になるじゃないですか。教えてくださいよ」

「ダメでやす。それに、質問したいのはこっちの方でやすよ」

「と、言いますと?」

「どうして君達が、ウチらの集会場に来たかでやんす」

『集会場?』


大傘の言葉を聞き、首を傾げる霊夢達。
その様子を見た大傘は、すぐに何かを察したかのような表情で、首を何度か縦に振る。


「はは〜ん、なるほど。さては君達、ワチキらが何か企んでると思ってここに来たでやすな?」

「むむむ?!良く分かりましたね」

「そうさ。私達は、お前達が何をコソコソしてるのか、確かめに来た。お宝を隠してるとか、異変を起こそうとしてるとか思って」

「まあ、私は興味本位で来ただけなんだけどね」

「やっぱり。いやはや、勘違いにも程があるってモンでやすな」

「勘違い?」

「そうでやす。ワチキらは、そんなめんどくさそうな事一切考えてないでやす」

「じゃあ、何をしてたって言うんです?」

「集会でやすよ、集会」

「「集会?」」


集会。その言葉に魔理紗と早苗は顔を合わせた後、魔理紗が聞く。


「集会ってなんの?」

「付喪神の集会でやんす。
今ウチらは、こうやって付喪神同士集まって自分の目標の達成度を報告したり、
目標達成の為に何をしたらいいのか話し合ったりしてるんでやすよ」

「へ、へえ…」

「じゃあ、先週小傘さんやメディスンがここで集まってたのも…」

「その集会の為でやんす」

「でもさ、いったい何の話しをしてたのさ?目標の達成度を報告してるとか言ったけど…」


集会の内容を今一つ理解しきっていない様子の魔理紗。
そんな彼女を見て、今度は小傘が口を開く。


「もう、決まってるでしょ?1人1人が個人的に決めている目標がどれくらい達成したかの報告よ。
例えばアタシの場合は、どれくらいの数人を驚かす事が出来たとか…」

「私だと、人形解放がどれくらい進んだとか…そんなのを報告しあってるの」


小傘とメディスンの説明を聞き、魔理紗は「ああ、なるほどな」と理解して納得。

一方、それを聞いていた霊夢は、ある疑問が浮かぶ。


「ふむ、今ので大体全部分かったわ。でも、そうだとすると大傘…
と言ったかしら?アンタとそこの2人も目標を掲げてるって事よね?」

「もちろんでやんす!」

「じゃあ、アンタはどう言う目標持ってるの?やっぱり人を脅かす事?」

「いやいや…
ワチキは小傘と違って脅かしの天才だから、そんなの目標にならないでやんす」

「じゃあ、なに?」

「聞いて驚くなでやすよ?ワチキの目標、それは…」

「それは?」






「覚り妖怪になる事でやんす!」


『え!?』


信じられない一言に、一瞬固まってしまう霊夢達だったが、すぐに魔理紗が口を開く。


「お、おい。お前今、覚り妖怪になるって言ったか?!」

「うん。言ったでやんす」

「覚り妖怪って…あの覚りの事だろ?」

「そうでやすけど?」


大傘の答えに魔理紗は信じられないと言う顔をするが、それは側で聞いてる霊夢と早苗も同じである。


「あ、アンタ本気なの?」

「本気じゃなきゃ、目標にしないでやんすよ」

「それじゃあ、その目玉の缶バッヂってもしかして…」

「良くぞ気付いた。コレはワチキが一歩でも彼女に近づこうと思って作った、特製缶バッヂでやんす!」


大げさな受け売り文句で高らかと説明する大傘。
これに、さすがの霊夢達も「な、なるほど…」と返すしかなかった。


「(も、目標が覚り妖怪になるって…)」

「(そんな事したら付喪神じゃなくなって、仲間外れになるんじゃないか?)」

「(うーん…かなりまともな事言う妖怪だと思ったら、結局変な妖怪のようですね)」

「(と言うか、何で覚り妖怪になろうとしてるのかしら?)」


そして、小声で会話をし始める霊夢達だったが、大傘はすぐに気付く。


「あの〜…何コソコソ話してるんでやんすか〜?」

「あ、いや、何でも無いわ。ただ、どうして覚りになりたがってるのか気になって…」

「ああ、その事?決まってるじゃないでやすか。憧れの"あのお方"に近い存在になる為でやすよ」

「"あのお方"?誰よそれ?」

「古明地さとりでやす」

「さ、さとり?」

「そう!あの地霊殿の主、古明地さとり様…!
文字通り人の心を見透かす第三の瞳を持つ、華麗なる地底のカリスマ!
あの方に心を見抜かれた瞬間、私は感じた。私は、この方に仕えるべきだと…その為には、彼女と同族になるべきだと…
おぅ!マイLOVEさとりん!私は、貴女に近付く為、日々努力しております!そんな私が覚り妖怪になるその暇で、首を長くしてお待ちしてください!!」


もしもここが舞台の上だったら、スポットライトが当てられ拍手が飛び交いそうだと思わせるほど、
大げさな動きと共にさとりに対する熱意を語る大傘。

無論、そんな彼女に対し、3人は苦笑する事しか出来ない。


「な、なるほどね…」

「フッフッフ〜理解していただけたようでやすな。あ、そうだ、ついでにコレあげるでやんす」


そう言うと大傘は、三枚のチラシを霊夢達に手渡した。


「コレは?」


霊夢は渡されたチラシを見ると、そのチラシの一面には
『旧都一番の手作りグッズ専門店 少々良屋!
ここでしか手に入らないワチキ、大傘の手作りグッズが目白押し!興味のある方はすぐさまGO!』
と書かれており、更にその周りには左目をつむり、
舌を出しているデフォルメ調の大傘や彼女の持つ傘のイラストが沢山描かれていた。


「少々良屋?アンタ店開いてるの?」

「そうでやんす。品ぞろえも豊富だから、暇があったらぜひとも寄ってくれでやんす」

「それは良いけど、何で旧都な訳?」

「そりゃもちろん、憧れのさとり様のお家が近いからでやんす。だから、空いてた家を一軒借りたんでやんす」

「なるほど、やっぱりそう言う訳ね…」


だんだん突っ込み切れなくなって来た霊夢。

と、その時だった。




「ショデルテッワカ?」


「え?」


突然、聞きなれない言語による声が聞こえたもので、
霊夢を始め、魔理紗と早苗は声がする方を見ると、そこには浮遊する釜に入った少女がいた。


「今のは…お前が言ったのか?」


魔理紗が聞くと、少女はコクリと頷く。


「あのぉ〜…失礼ですが、何を言ってるのか良く分かんなかったんですけど…」


少女が反応を示した後早苗がそう言うと、今度は緑の帽子に指揮者の格好をした少年がやって来て、
少女の入っている釜を指揮棒でカンカンと2回叩いた後、こう言った。


「あ〜…オッホン!"変わっているでしょう?"と言ったのです」

「へえ、そうだったんですか」

「すげえ、お前コイツの言う事が分かるのか?」


魔理紗の言葉に、少年は無言で頷いた。


「ふぅ〜ん、それならこの娘がどう言う妖怪なのか、分かりそうね」

「そう言えば、まだ貴方達の事は聞いてませんでしたね。いったい、どう言う方なのですか?」

「ヨマカリナ。キシヨマカコハシタワ」


また謎の言語を喋る少女。
その後、少年が彼女の言葉をまた翻訳する。


「え〜…"私は「古釜吉来(こかまよしき)」。鳴釜よ。"と言っています」

「鳴釜?ああ、釜鳴りの事ですか?本で読んだ事ありますよ。使い古された釜が妖怪化したものでしょう?」

「ノナウヒョクモノシタワ、ガカタキデニンウウコヲトヒノケダレドデイナラウノソ、ラカダ。
ノナイクトガイナラウ、ラカタッダマカタイテレワカツニイナラウ、テクナジャマカノダタハシタワモデ。ウソ」


古釜と名乗った釜の妖怪はまた何かを喋り、それを少年が翻訳する。


「あ〜…"そう。でも私はただの釜じゃなくて、占いに使われていた釜だったから、占いが得意なの。
だから、その占いでどれだけの人を幸運に出来たかが、私の目標なの。"と言っています」

「なるほど、占いね」

「うーん…貴女の事は大体分かったけど、アンタはどう言う妖怪なの?」


と、少年に振る霊夢。
しかし少年はと言うと、何故かプイっと霊夢から顔を逸らし何も言わなかった。


「ちょっと、何でそっぽ向くのよ?人の質問に答えなさい」


そう言って再び少年に顔を合わせる霊夢だが、少年はまたそっぽを向いて答えない。
それでも負けじと、霊夢はしつこく顔を合わせては少年に質問を続け、少年もまたそっぽを向くのを繰り返す。

そして――――




「…!」

「?…いっ!?」


プスッ!

突然少年は、閉じていた両目の内右目を開いたかと思えば、持っていた指揮棒で霊夢の額を軽く突いてきたのだ。


「イッタぁ…!何するのよ!!」


痛む額を押さえ、怒鳴る霊夢。
しかし当の本人はと言うと、再び両目を閉じ、そして悪びれる様子もなしに右手を背中側に回し、左手に持つ指揮棒を振りながら霊夢に背を向ける。


「こ、コイツ…!」

「待って、霊夢」


霊夢は思わず怒りそうになるが、それをメディスンが止める。


「な、何よ?!」

「コイツに何言っても無駄よ。コイツ、釜ちゃんの言う事は翻訳して喋る癖して、自分の事は何一つ喋らないんだから」

「自分の事は喋らない?」

「ええ。コイツ、釜ちゃんが集会仲間に入った次の日に、いきなりやって来たのよ。
だからコイツが何処の誰でどう言う妖怪なのか、サッパリ分からないのよ。指揮棒の付喪神だとは思うんだけど…」

「でも、指揮棒の付喪神なんて聞いた事ありませんね。新種でしょうか?」

「さあ…私、他の妖怪の事はまだ余り良く分からないし…」


早苗の質問に答えかねるメディスン。だが、そこに大傘が口を挟む。


「いやいやいや!ワチキは生まれてこの方、150年くらい付喪神やってるでやすが、指揮棒の付喪神なんて見た事も聞いた事も無いでやんす」

「じゃあ、やっぱり新種の妖怪でしょうか?」

「多分そうかも…」

「何とも分からない事だらけな妖怪だな」

「そうなんでやんすよ。ウチらも分からない事だらけでちょっと困ってるんでやす。ねえ小傘?」

「ええ。特に困ったのは名前でね、どう呼べばいいのかサッパリ…
だから、指揮棒を持ってる事にちなんで、"シキ"って仮名称で呼んでるのよ」

「なるほど、シキね…」


魔理紗はそう言いながら、シキと呼ばれている少年に目をやると、
彼はいつの間にか古釜の前でリズムを取るように指揮棒を振り、古釜は楽しそうな表情でその指揮棒の動きに合わせ、頭を動かしていた。

そんな中、魔理紗はまた1つの疑問が浮かび、大傘達に尋ねる。


「待てよ、分からない事が多いって事は、どう言う目標立ててるとかも分からないって事?」

「無論でやんす」

「そんなので集会仲間として成り立つのか?お前達の集会って話しあいの場だろ?」

「そうでやす。でもこの子は、釜ちゃんの言葉が理解できる貴重な存在でやすから、もっぱら翻訳係りとして働いてもらってるでやんす」

「なるほどな」


納得する魔理紗だったが、その後今度は小傘が口を挟む。


「ねえ、私達が何してるのとか、みんなの事とかもう分かったでしょ?だからいい加減帰してくれない?」

「え?あ、ああ…」

「すみません…」


と言いながら、道を開ける魔理沙と早苗。無論霊夢も黙ってその場から退く。
それを見た付喪神達は、何故かシキを先頭に次々と洞窟から出て行く。

そして、最後尾にいた大傘と小傘の内、小傘が霊夢達にこう言った。


「そうそう。言い忘れてたけどこの集会、一応付喪神だけの秘密の集会でやすから、みんなにはナイショだよ?」

「分かってます。そうした方が、もしも貴女達が悪さをした時に、私達の手で一斉退治出来ますからね」

「うえ!?そ、それは止めて!!」


早苗の爆弾発言にビビる小傘。だが、そんな彼女の頭を大傘はパシッ!と軽く叩く。


「イタッ…何するのよ大傘!」

「何するのよじゃないでやす、小傘。その程度のコケ脅しにビビってどうするんでやんすか?情けない」

「だ、だって…」

「だっても勝手も無い。ま、物騒なコケ脅しをする方もどうかしてるでやすがね」


小傘に厳しく接する一方で、ジト目で早苗を非難する大傘。そんな彼女に対抗してか、早苗も半目になって言い返す。


「まあコケ脅しだなんて…私はいつでも本気ですよ?」

「はいはい、本気本気。小傘、こんなのほっといてさっさと行きやしょう」

「え?あ、うん…」


大傘は早苗の言葉を軽く受け流すと、まだ少しビビっている小傘を連れて立ち去った。


「何よ、面白くない…」


大傘の反応に早苗は不満の一言をこぼす。対して、魔理沙の方は大傘の反応に感心していた。


「凄いな、あの大傘とか言うの。早苗にあんな事言われて全く動じないなんて」

「そうかしら?私は小傘がビビり過ぎなだけだと思うんだけど…」


感心する魔理沙に対し、霊夢は冷静な分析をしたかのような言葉を返す。

と、その直後に早苗が気を取り直したかのようにまた口を開く。


「まあ、そんな事より、まさか小傘さん達がただ集会を開いてただけだったなんて、ちょっと拍子抜けですね」

「そうだな。お宝の匂いもプンプンしてただけに、残念だぜ」

「だから言ったじゃない、アイツらにそんな事出来る訳無いって。ま、さっきの3人組みが気になって着いて来た私も、人の事言えないけど」

「なあ、それよりさあ、このチラシの店どうする?いつか行こうか?」

「あ〜、そうねえ…ちょっと気になるから、行ってみましょうか?」

「それが良いですね。何か可愛いもの置いてそうですし!」

「じゃあ決まりね。それじゃ、明日私達で行ってみましょう」

「ええ」

「勿論だぜ!」


こうして、小傘達が何故集まっているのかを突き止めた3人は、明日の予定を決めながら家路に着くのであった。



何か無理矢理だけど、終わりだよ。






 

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