海の向こう――― 常に雷雲に空が覆われている不気味な島があった。 それはバイキン島――― バイキン城があるばいきんまん達の拠点。 いつもならそこで、ばいきんまんがアンパンマンを倒す計画や悪だくみをしている所でもある。 だが――― 「キャア―――――――――――!!!!!」 「エ〜〜〜〜ン!!!!」 今日、この日だけは――― 「ドキンちゃん!コキンちゃん!アラ〜〜〜〜〜!」 違っていた―――! 「なっ!?」 「ヒ〜ヒッヒッヒッヒ!」 あっけなく泥のように固められたホラーマンとドキンちゃんとコキンちゃん。 驚愕するばいきんまん。 4人をあざ笑うかのように、自在箒のようなものを片手に持つ1人の謎の人物が笑う。 それは明らかに男性では無く女性であるようだが、 外見的にはまだ少女といった感じの雰囲気であった。 「お、お前何をした!?」 謎の少女を指差しながら声を荒げるばいきんまん。 少女は特に動じる事無く答える。 「決まってるじゃない、私のコレクションに加えてやったのよ」 「コレクションに加えた?ど、どう言う事なのだ!?」 「こう言う事なのだ!」 ギュンッ! 少女は叫ぶと、両手で自在箒のようなものを自らの手前で回転させて浮かばせる。 そののち、両手に竜巻のような玉を作りだす。 それは泥の塊にも見えるが―――? 「な…!」 「食らえー!」 ドバアァァァァァァ――――――――!!!!! 次の瞬間、少女は両手の玉を合わせると、 目の前で回転する自在箒に向けて投げつける。 すると合わさった玉は、竜巻のようになって自在箒のようなものに命中すると、 自在箒のようなものの回転で増幅され、巨大竜巻のようになり、ばいきんまんに襲い掛かかった。 「ギャ――――――!!!!」 巨大竜巻に飲み込まれるばいきんまん。 主人の悲鳴を聞き付けて大量のかびるんるんとやみるんるん、べろべろまんにちくりんが庇おうと間に割って入って来たが、 彼らも「かびー!やみー!」などといったと悲鳴を上げながら成す術なく巻き込まれる。 そして、巨大竜巻が無くなった頃には、 ばいきんまんとその手下達もドキンちゃん達のように固まった姿で出て来るのであった。 それを見た少女は自在箒のようなものをカンっ!と床に打ちならしながらこう言った。 「ごめんなさいね、アンタも技術力あって相当強い奴なんだけど、 この星じゃいっつもアンパンマンにやっつけられてるから、 戦って無様な姿にしてあげる価値が無いのよね。で…そのアンパンマンはどうしてるのかしらね?」 少女は近くにあったモニターの前まで歩み寄ると、 目の前にあるスーパーファミコンのコントローラーのような操作盤を操作し、アンパンマンの映像を呼び出す。 するとモニターに2台の客車を引いて走るSLマンの側を、 カレーパンマンとしょくぱんまんと一緒に飛んでいるアンパンマンの姿が映し出された。 「ふ〜ん…みんなと仲良くお出掛けですか。せいぜい楽しくやってるが良いわ…」 私がそっちに行くまでの間にね―――― 〜カーナと海と邪悪な姫と―――〜 はじまり
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