潜入 2



バツガルフがマリオ達を私室に案内した同じ頃…

ゴロツキタウン地下のメガバッテンのアジトへの転送装置の建物の中で、
1人の軍団員が見張りをしていたのだが…

見張り軍団員
「ん?何だ?」


ドンドンドンドン!

何者かが、出入り口のドアを激しく叩いており、見張り軍団員は不審に感じる。


見張り軍団員
「侵入者か?…いや、無視しておいた方が良いだろう。ヘタに出ると、厄介だ」


ドドドドドドドドドドドド!!!!

そう言って無視を決め込もうとしたが、何者かのドアを叩く行為は一向に収まる気配が無い。
それどころか、激しくなっていく。


見張り軍団員
「しつこい奴…痛い目に逢わさないとダメなタイプのようだな?」


ガチャ!

そう思い、結局表に出てみる見張り軍団員。だが、不思議な事にそこには誰もいなかった。


見張り軍団員
「あれ?誰もいな…うっ!?」


見張り軍団員が不思議がっていたその時だった。
突然、建物の上から長い2本の腕が下りて来て、彼の首を締め上げたのだ。


見張り軍団員
「あ……!あぁぁ……!かぁ………!」


首を絞められ、まともな声も出せないまま苦しむ見張り軍団員。
腕は、そのまま彼を建物の屋上まで引きずり込む。


シュタッ!

そして、少しすると、屋上から見張り軍団員が飛び降りてくる。
だが、その姿は先程と違い全身銀色であり、地面に着地して立ち上がるとともに、
先程の彼と全く同じ色に変化する。

言うまでもないであろうが、M-1000が見張り軍団員を殺し、成り替わったのである。


見張り軍団員・M-1000
「擬態完了…これより、メガバッテンアジトに潜入する…」


ヒュン!

そう言ってM-1000は、建物に入ると転送装置を起動し、メガバッテンのアジトに侵入。
転送装置の部屋へと飛ぶのだが、その部屋にも見張りの軍団員がいた。


見張り軍団員B
「どうした?交代の時間はまだだぞ」

見張り軍団員・M-1000
「実は、トイレに行きたくなってな…
その間下の見張り、替わってくれないか?」

見張り軍団員B
「何だそういう事か。分かった、任せてくれ」

見張り軍団員・M-1000
「すまないな。すぐ終わらせるから…」

見張り軍団員B
「ヘイヘイっと…」


ヒュン!

そう言って見張り軍団員Bは、相手が偽者である事に気付かぬまま、転送装置でゴロツキタウン地下へと飛んで行った。


見張り軍団員・M-1000
「…………」


ピガガガガ!シューン....

それを確認すると、M-1000は針のように尖った右手人差し指を伸ばすと、
転送装置の本体に突き刺して何かをする。
すると、転送装置は奇妙な音を立てたかと思えば、その機能を停止してしまった。


見張り軍団員・M-1000
「これで、メガバッテンは地上へ避難し、体勢を立て直す事はできない…
ターゲットや対抗軍の差し金も、すぐには来れないだろう。
後は、コンピュータールームに行くだけ…」


M-1000は、転送装置の部屋から出ると、そのまま地下2階の廊下の右側の第2エレベーターに向かう。
そして、本物の見張り軍団員を
殺した際に奪ったエレベーターキーを使い、地下4階へ降りて行く。

一方、上の階で色々起きたと知らないペケダー達は、
バツガルフの言い付け通りにテックIIを見張っていたのだが、突如ペケダーに異変が…


ペケダー
「あ…!」

研究員A
「ペケダー様、どうなさいました?」

ペケダー
「あ、安心したからか?急に、デカいのが出そうに…!」

研究員A
「では、早々にお手洗いに行かれた方が…!?」


その時だった。研究員Aは、急に言葉を詰まらせた。


ペケダー
「どうした?」

研究員A
「わ、私も急に出そうに…!」

研究員B
「奇遇だな。私もだ…」

研究員C
「私も…」


するとどうだろうか、まるで連鎖反応を起こしたかのように、
その場にいる研究員全員が便意を訴え出したのだ。


ペケダー
「何だ、全員トイレに行きたいのか?だが…」

研究員A
「ば…バツガルフ様にテックIIを見張れと言われてるし…」

研究員B
「けど、このまま我慢していたら、それこそ悲惨な事になりそう…」

研究員C
「も、もうダメ…私は行くぞ!」

研究員D
「あ、お前だけズルいぞ!私も行くー!」


と、研究員Cが我慢ならずに部屋を飛び出すと、それを見た他の研究員も次々とトイレに向かう。


研究員A
「クッ…しょうがない、私も!」

ペケダー
「バツガルフ様、どうかお許しを…!」


残った研究員Aとペケダーも、部屋から廊下へ飛び出すと、丁度エレベーターから降りたM-1000と出くわした。


ペケダー
「おぉ!丁度良い所に…!
ワシら、トイレに行ってくるから、テックIIの見張りを代わりに頼む!」


と、ペケダーは頼むだけ頼んで、研究員達と共にトイレのある方へ向かっていった。


見張り軍団員・M-1000
「了解しました…」


M-1000にとって都合の良い状況を作り出したとも気付かずに…




テックII
「ミンナ、ドコイッチャッタノ…?トイレッテナニ…?ワカラナイ…ン?」


ペケダー達が外へ出て行った事に、テックIIが困惑していたその時だった。
プシュー!と音を立てながら扉が開くと、見張り軍団員に化けたM-1000がやって来る。


テックII
「ア、アナタ…ダレ…!?」

見張り軍団員・M-1000
「おぉ…やはりこの時間に潜入して、正解だった。しっかりと誕生しておられる…」


丁寧な物言いでテックIIに歩み寄るM-1000。その姿に、テックIIは得体のしれない恐怖を感じ取る。


テックII
「ヒッ…!コ、コナイデ…!アナタ、バツガルフタチト、チガウ…!!」

見張り軍団員・M-1000
「ほほう…さすがは女帝陛下…いえ、我らがマザー。
生まれたてでありながら、すぐに他の連中と違うとお感じになられるとは…」

テックII
「ジョテイ…?ヘイカ…?マザー…?ナニヲ、イッテルノ…?
ワカラナイ…ゼンゼン、ワカラナイ…!」

見張り軍団員・M-1000
「ご安心をマザー…今すぐにでも、お分かりになりますから…!」


ザッ…!

そう言ってM-1000は、転送装置にした時同様、
針のように尖った右手人差し指を伸ばし、テックIIに突き刺す。


テックII
「イッ…!?ナ、ナニ…ヤ、ヤメ………ア……!ア、ア"ァ"…………」




ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"―――――――――!!!!!!



そして、M-1000に何かをされ始め、彼女はアジト全体に響き渡たるほどの大きな悲鳴を上げた。


―地下4階 男子トイレ―


研究員A
「この声は?」

研究員B
「テックIIの悲鳴だ!いったい何が…?」

ペケダー
「グゥ…!まだ、全部出してないのに…!」





―1階 事務室―


エリート軍団員B
「おい、何だ今の悲鳴は!?」


持ち場に戻っていたエリート軍団員Bは、
今だ気絶中のジムチョーを看病するエリート軍団員Aがいる事務室に駆け込んでくる。


エリート軍団員A
「分からん。しかし、聞いた事の無い声だ…
は!もしかしたら、あのテックIIが完成したのかもしれん!」

エリート軍団員B
「そう言えば、さっきペケダー様が頭脳回路届けに行ってたっけ…
けど、どうして悲鳴何か…」

エリート軍団員A
「もしかしたら、何かあったのかもしれん。お前、念のためバツガルフ様に知らせて来い。
俺はまだ、ジムチョーの様子を見なければいけないから、離れられん」

エリート軍団員B
「分かった。全く、ジムチョーが襲われた事といい、今日は何て日だ…!」


愚痴りながらエリート軍団員Bは、事務室を出てエレベーターで地下2階に降りると、総統の間に直行する。


エリート軍団員B
「バツガルフ様!大変で…あれ?」


だが、その部屋には誰もいなかった。
エリート軍団員Bは首を傾げたが、私室の方にいるとすぐに思い直し、
奥の扉から私室に足を踏み入れるが、そこにも誰もいなかった。


エリート軍団員B
「バツガルフ様?それに、ダメ新人…?一体、何処へ…?」


呆気にとられるエリート軍団員B。
そう、M-1000が潜入してテックIIの元に向かっている間に、彼らは未来の世界へ飛んで行ってしまったのであった…




       第4話終わり。

              第5話へ続く・・・















〜あとがき〜


R版第38部、第4弾完成。
原文との違いを…

ウィッチデバイス・・・プロローグから登場していましたが、原文に無いR版オリジナルアイテムです。
原文でイリアがマリオ達の足取りをトレースしていたという発言から、考案しました。
ちなみに、マリオ兄弟が自分の後をつけてきた事をイリアに問うくだりは、原文では今回より前の方にありましたが、
R版ではその時聞く余裕のない状況になってしまったので、今回に回しました。


ダメ新人軍団員トリオ・・・原文では何故か戦闘員とされており、マリオにやられて服を取られた3人組です。
R版では、エレベーターキーを持っておらず尚且つジムチョーがキーを断固として渡さない展開を自然にするために、
転送装置を使ってサボった為に、超暇な1階の警備を押し付けられた、究極にダメな新人と言う設定にしました。

成り替わったと言う事にもしたので、アジト内の軍団員らとのやり取りも変更しました。


ジムチョー・・・原文でいう、エレベーターキーを持ってたエリート軍団員に相当するキャラ。
エレベーターキーを持っているという設定を自然にする為、キャラを変えました。


バツガルフの所に向かう経緯など・・・原文とそっくり変えています。
原文ではマリオがジムチョーボコってキーを奪って普通に会いに行っていましたが、
団員1人がアジト内でやられたのに、誰も気にも留めないのはおかしいと思ったので、
騒ぎを利用したイリアの機転でバツガルフを引っ張り出すという感じに変更となりました。

また、当初は原文同様、エレベーターキーのありかをアジト内の電話でペケダーに聞くくだりを入れる予定でしたが、
書いてみたらイリアが事務室を見付ける展開で充分だと分かったので、ここも変更になりました。
ペケダーが自室で頭脳回路を作っていると言う展開は、その名残りです。
まあ、結果的に無駄にはなりませんでしたが…


エリート軍団員2人・・・原文にはいなかった連中。マリオ達の変装が上手くいったことを示す為と、
マリオ達を総統の間に連れていく展開を入れる為、出しました。
ちなみに、マリオの言うように、彼らはペーパーマリオRPGで最初にアジトに入った時に戦った、
2人のエリート軍団員と同一人物です。ペパマリとの繋がりを感じさせる小ネタとして入れました。

ついでに、彼らの言う月面のバリアーンが
ツキノシンエモン対策として放たれたものであるという設定は、当まとめ独自の設定です。
ゲームではツキノシンエモンと一緒に出てきたような記憶もありますが、我が家のGCが逝き気味なので、確認は難しいです。
こまけぇこたぁいいんだよ!


バツガルフ、タイムスリップ・・・原文では、最初はバツガルフだけを未来に送るつもりで、
マリオがさっさと入れ!と言って押し飛ばす→その後、自分達も未来を案内しに行こう、という展開でしたが、
R版では、初めからバツガルフと一緒に未来に行くつもりできており、
マリオが押し飛ばしたのも故意ではなく、クシャミした拍子による事故に変更。
この辺の展開も自分は関わっていましたが、今になって思うと原文の展開はおかしいと感じたのでこうなりました。

(原文の方の)君達、バツガルフを未来に飛ばすだけ飛ばして、どうやって説得する気だったの?

その為、新人軍団員Aの服がクシャミが出るほど酷い臭いを放っていると言う設定を追加しました。

また、イリアのバツガルフの動きを止める方法を、ナイフを突きつけるから羽交い絞めにするに変更。
あくまで説得が目的なので、ナイフで脅すのは不自然だと思ったのと、
ナイフで首を飛ばしてもバツガルフは死なないからです。

また、タイムボールで発生したタイムホールは、マリルイ2基準となっています。
おかげで、名前がややこしい事に…


テックIIがある場所・・・原文では地下2階で作られたと言う設定でしたが、
R版では地下4階のテックと同じ部屋で増設されたと言う設定に変更。
実は、今回の話を書いている際に思い付いたもので、初めから考えていた訳ではありませんでしたが、
こうすれば後の展開に繋げられるので、採用しました。
ちなみに、プロローグの時からそうでしたが、ペケダーや研究員がいるのは、
組織の新たなコンピューターなのだからバツガルフだけが作っているというのは不自然だからです(一応、他所のまとめでも出ていますが…)


テックIIのキャラ・・・原文では、台詞の表記が人間キャラと同じで、漢字を使っていましたが、
ゲーム版のテックにあやかったのと、まだ自我が膨らんでいないイメージで、カタカナ表記に。
漢字を使っていないのも、まだ誕生したての子供みたいなイメージだからです。
喋り方も、誕生して間もないと言う事で、たどたどしい感じにしました。
バツガルフを呼び捨てにしているのも、まだ生まれたてで目上の人に敬称を使うという事を知らないからです。


M-1000潜入・・・原文では、ツキノシンエモンに化けて月面から侵入していましたが、
M-1000は月に行く手段を持っていないはずなので、軍団員に化けて転送装置から乗り込むに変更。
ただし、他所のまとめと被らないよう、殺したのは地上の転送装置を見張っていた方の軍団員で、
アジトの装置を見張っていた方は、不審に思われないようにあえて殺さなかったに変更し、
メガバッテンの戦力に限りを出すため、そしてマリオ達が来る事(一足先に来てたけど)を警戒して、転送装置を動かなくする展開を追加。

そして、せっかくなんでテックIIが悲鳴を上げた時のアジトの様子も描写してみました。


以上です。

細かな違いは、各自ご確認してみて下さい。

さて、次回はついに未来の世界編!
原文に無いオリジナル展開を用意していますので、お楽しみに!!



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