「うっう〜ん…!」


とある幻想郷の昼下がり、博麗神社の前で霊夢は大きく伸びをする。
今日は清々しいほどの晴天で、気分が良いのである。


「清々しい…今日は異変も妖怪退治の依頼も無いし。外掃除したら、後はゴロゴロしようと」


と、霊夢が予定を決めたその時―――!





よっしゃぁー!!


「きゃっ!?」


突然、何処からか少女が叫びながら飛んで来て、霊夢を突き飛ばしたのだ。

当然突き飛ばされた霊夢は、思い切り地面に叩きつけられてしまった。


「結界越え成こーう!ふっふっふっ〜、どうやらみんなちゃーんと私の存在を忘れてくれたようね…ん?」


少女はそんな事を言いながら前を見ると、彼女は自分が突き飛ばした霊夢の姿に気付く。


「う、う〜…」

「あれ?アンタ誰?な〜んでこんなトコで寝てるの?」

「ち、違うわよ…アンタがいきなり突き飛ばしたんで…っ?」


そう言いながら、突き飛ばされて痛む体を起こし、少女を見る霊夢だったがその姿を見た途端、急に言葉を切る。

その少女は、癖の強い金色の髪に青い右目と真っ赤な左目のオッドアイのジト目なのだが、
その左目の部分は、目の上下に三日月形の傷跡があり、左目の瞳の中央が黒く太い縦線が出来ており、光りも見られない。
それに加え、その左目の周りの皮膚は今もなおも張れたように赤茶けており、白眼も充血したように赤くなっていた。

そして服装は、右腕の半分近くだけが隠れるようになっている、赤い瞳の目玉柄の不気味な黒く短いマントかケープのようなものに、
下側に2つの異様にリアルな赤い瞳の目玉がプリントされた、古明地姉妹の服に良く似た赤い半袖の服と、
腹部に充血した様な眼玉を持った、赤い薔薇からワニのような首を突きだし、
牙の生えたツルを沢山伸ばした植物の怪物らしき絵が描かれ、
左側に不自然な切れ込みが1つ入った、白いフリルが着きの青いスカートを着ており、
足には赤い瞳の目玉が入ったオレンジ色の先の尖った靴を履き、頭に青いリボン付きの黒く小さい帽子を被っていると言った格好で、
更にその左胸には黄色く、やや斜めに傾き、そして少女の体の至る所にコードを伸ばした目玉があった。

実は、霊夢が注目したのはこの目玉であり、その目玉には見覚えがあった。


「あら?この目玉に見覚えがある…そんな事考えてたわね?」

「!私の考えていた事が分かったと言う事は、やっぱりアンタ…」

「そう、私は覚り妖怪。そして、この目玉は覚り妖怪の力の源…」

「第三の目…」


そう、彼女の左胸にある目玉は、紛れもなく覚り妖怪の持つ第三の目であった。
無論、その目玉は開いており、少女は霊夢の心を難なく読み、
そしてあの古明地さとりの第三の目同様何本ものコードが彼女の体の至る所に伸びていたのだが、
そのコードが伸びている位置はさとりのものとやや異なっており、
1本はさとり同様少女の帽子の中にある頭に伸びていたが、
他のコードはと言うと右腕に撒きついていたり、ケープを止めるかのように左肩に伸びていたり、
古明地姉妹同様腰に巻きついたうえで尻尾のような伸び方をしているものがあり、
そのうえ何故か1本だけ中途半端に千切れているものがあり、そのコードだけ腐ったように茶色く変色していた。


「で?」

「"アンタ、何者?"
話したいのは山々だけど、こんな場所で立ち話もなんだから、神社でお茶しながら話しましょう」


霊夢の心を読んだ少女はそう言って、霊夢の神社に向かって歩み始めた。


「そうね…って!ここは私の神社よ!何でアンタが仕切ってるのよ!!」


思わず納得しかけてしまった霊夢だったが、すぐに立場が逆転している事に気付き、突っ込みを入れながら神社に向かう少女の後に着いて行った。



〜帰って来た覚り〜

始まり






 

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