「えー!?咲夜さんが決闘!?」

「どう言う事なの…?」

「て言うか、いつの間にそんなお客さん来てたの?」


あれからレミリアは、
紅魔館の裏手にて咲夜がさと見と決闘する為、みなで見物するようにと、
妖精メイドを始めとした紅魔館の者達に伝えた。
突然の朗報に、彼女らはしばし騒然。

そして主人に言われた事もあり、手の空いてる者達は全員裏手に集まった。


「…で?なんで私まで?」


不機嫌そうに愚痴るのはレミリアの親友パチュリー。
レミリアは先の発言通り、彼女も連れて来たのだ。

しかも無理矢理。


「だって、アンタにも見てもらおうと思ってさあ」


と、理由を述べるレミリア。
今は吸血鬼にとって毒である日が出ている時間帯である為、
言うまでも無く日陰の下にいる。


「やめて頂戴よ…今日は喘息酷いのだから…ゴホッ!」

「そんな事言わないで、見て頂戴よ。
あの覚り妖怪が、咲夜に倒される姿を」

「だから、なんで私まで見なければならないのよ?」

「なんでかって?
決まってるでしょ、アイツ私や咲夜を散々非難したのよ!?
晒し物にしてやらないと、腹の虫が収まらないのよ」

「何それ?止めて欲しいわ、そんな理由で私まで連れ出すの…ケホッ!」


(自身にとって)面倒な事をやってくれたなと呆れるパチュリー。
だが、かと言ってさと見に興味が無い訳ではない。


「(でも、あの覚り妖怪…随分と変わってるわね…
あの目の傷と、千切れたコード、何なのかしら?)」





「はあ…これ、どう言う事な訳?
私、決闘するとは言ったけど、観客まで呼ぶよう言った覚えは無いわよ?」


周りに集う紅魔館の住民を見ながら、
不機嫌そう目の前にいる決闘の相手、咲夜にさと見は問う。


「あら?わざわざ言わないでも、貴女には分かるんじゃないかしら?」


だが、咲夜は自らの口では答えない。

それもそのはず、
こうなった原因はさと見は第三の目で把握しているはずだと、
分かっていたからである。

その事を察したさと見は、納得したように口を開く。


「ああなるほど。
貴様の主人が勝手に呼んだ訳?私が負ける姿を見せつける為に…」

「そうよ」

「ふぅん…ふざけてるわね。
私を晒し物にしようだなんて。
でも残念…晒し物になるのはそっち。
あのガキ、よくもまあ自分の使用人の首を絞める様な事を…」

「お前…!!」


主人レミリアを悪く言われ、怒りの目を向ける咲夜。
さと見は冷たく、
それでいて面白そうな目を向ける。


「いやはや、ご主人への想いが強い事強い事…
フフッ!そうこなくちゃ面白くない!
怒りに怒って、全力でぶつかって来てくれないと、潰しがいが無いからねえ!!」

「言ってくれるわね。こっちも…」

「"簡単にはやられはしない"
あら?随分と勝つ気満々じゃないの…
はあ、なるほど。お前、さとりやこいしに何度か勝った事あるんだ」

「数える程度だけどね」

「でも勝てる自信はある…
バカじゃないの?私はあの2人みたいには行かないわよ。
それに、決闘と言ってもスペカルールしたがった決闘はしないわよ。
私帰って来て間もないから良く知らない…
と言うのもあるけど、気分的にはガチバトルしたいのよね」

「ガチバトル?」

「真剣勝負って意味よ。
今の外の世界で普通に使ってる言葉よ」

「そう。なら奇遇ね…
私もそう言うのをしてみたい気分だったのよ」

「そうなの。じゃあ、気を付ける事ね。
ヘタすりゃ死ぬかもよ!」

「貴女も…」

「"喉を斬られないよう気をつけなさい"」

「っ!!」


最後に言いたかった事を言われ、
咲夜はムッとすると、常用しているナイフを片手に戦闘態勢に入る。
一方さと見も、ジッと咲夜の顔を見、両者睨みあう。

いよいよ決闘が始まるのだ―――


「いよいよね」

「やれやれ、どうなることやら…」


今か今かとワクワクするレミリアと、
テンションが低いパチュリー。

一方、周りの妖精メイド達も結果がどうなるのか期待と不安でいっぱいだ。


「どうなっちゃうんでしょうかね?咲夜さん」


その内の1人、グルグル眼鏡の小柄の妖精メイドが、
特徴の無い自分より背の高い妖精メイドと、
背の高い妖精メイドよりも更に背の高い、
髪を括った長髪の妖精メイドに一言零す。

先程、館内でさと見が見掛けた三人組だ。


「そりゃもちろん、勝つに決まってるじゃないの。
何せ、さとりやこいしとの弾幕ごっこに3、4回勝ってるのよ?
勝機無い訳無いじゃないの」

「ですよねー」

「ん〜…」


咲夜が勝つと思っている眼鏡を掛けた妖精メイドと特徴の無い妖精メイド。
しかし、背が高い妖精メイドは何故か納得していない様子である。


「どうしたんですか?」

「あの〜…こんな事言いたくないんだけどぉ…
私、この勝負はあの覚り妖怪が勝つような気がするわ〜…」

「「はあ?」」


信じられない言葉に、2人は首を傾げる。
そして、特徴の無い方がまた口を開く。


「アンタ何を根拠にそんな事言ってるの?」

「分からな〜い。
でも、何かあの覚り妖怪からは、妙なの感じるの〜」

「なんじゃそりゃ…」


呆れてしまう特徴の無い方。
無論、眼鏡を掛けている方もだ。
だが、この背の高い妖精メイド、
おっとりした声とは裏腹にその目付きは真剣であり、さと見の方をじっと見据えていた。





「…………」

「……………」


一方、決闘しようとする2人はと言うと、
お互い睨み合ったまま全く動こうとしない。


「……………」

「…………………」


動かない2人。
時間は刻々と過ぎ、
辺りには木々が風に揺られる音や鳥のさえずりだけが響き渡る。
この状況に、周りの者達はまだかまだかとどよめきだす。

そして―――




「…ちょっと?」


そんな静寂をさと見が破った。


「お前、さっきから何を警戒しているんだ?」

「…はあ?」


さと見の問い掛けに咲夜は首を傾げ、
その反応を見たさと見は、呆れるようにこう言った。

「はあ?じゃないわよ。
さっきから私の事警戒して、ずっと出方待って…
せっかくワザとボーっと立ってやってるのに、バカみたい」

「どう言う事?」

「どうもこうも無いわよ。
一応この場では貴様が先輩だからね。
だから、せめて先攻だけは譲ってやろうと思ってたのよ」

「先攻を譲る?」


予想外の言葉に、咲夜は怪しむ。
それは周りの者達―――特にレミリアも同じだ。

咲夜を潰そうと先程まで息巻いていた相手が、
先攻を譲るなど都合が良過ぎて怪しかったからである。


「なあに怪しんでんのよ?ほら…早く来なさいよ。ほら…」


その心を読んださと見は、
そう言いながら両手で挑発するように煽る。


「…そう。それじゃあ、要望にお応えしようかしら…」


シュンッ!

咲夜は攻撃するかどうか一瞬迷ったが、
しない限り相手は始めてくれないだろうと判断。
一瞬の内にさと見の目の前まで接近し、ナイフを突き出した。


「いぃっ!?」


寸での所でさと見は、
驚きつつも体を後ろに大きく反らしてその攻撃を回避した。


「ちょ…ちょぉ…!
いきなりなにすんのよ…!ビックリし…ギャッ!」


ズンッ!

言い切る前に、さと見はそのままの姿勢を維持できなくなり、後ろに転倒した。


「アイッタタタタ…な、何よ今の!?」

「何って?貴女が先に攻撃しろと言ったから、攻撃したまでよ」

「分かってるわよ!でも、あんなに早いなんて聞いてな…」


ヒュッ!

抗議しようとするさと見だったが、
そんな彼女などお構い無しに、咲夜は手に持っていたナイフを投げた。


「ヒッ!!」


さと見は寸前の所を横に転がって回避。

だが、咲夜はすぐに懐から幾つものナイフを取り出すと、
さと見に向けて投げる。


「うわ!あわ…あわわ!!あひぃ…!!!」


それを見るや否や、さと見は情けない声を上げながら慌てて逃げ惑う。


「?」


予想外のさと見の姿に咲夜は拍子抜けしたような気持ちになりつつも、
さと見を攻撃し続ける。

無論、妖精メイド達も同様だ。


「あれ?」

「何あれ?ダサ!」

「何よアイツ、色々カッコ付けといて、実際の所口ばっかじゃない」

「良いわよ咲夜さん!そんなのパパッと片付けちゃってー!」

「ん〜…」


だが、妖精メイド達はすぐに咲夜に勝機があると感じ、彼女を応援し始めた。

おっとりした背の高いのを除けば―――




「ねえ、どう思う?」


突如、レミリアがパチュリーに問いかける。
突然の問い掛けにパチュリーは「何が?」と返す。


「さと見よ。あれ、どう思う?」


そう言って咲夜とさと見を指差すレミリア。
今現在さと見は、咲夜に一方的に攻撃されて逃げ惑うばかりで、
一向に反撃しようとしない。
その情けない姿は、始まる前の振舞いとかなりのギャップ―――
と言うよりも、温度差が極端に激しかった。


「そうね…あの妖怪の事は良く分からないけれど…ゲホッ!
相手を散々煽った末、予想以上の猛攻撃で追い詰められる…ゴホゴホッ!
己の実力を考えない典型的な自信過剰気質ね。あんな覚りもいたのね」

「ふぅん…」


パチュリーの答えに素っ気ない返事を返すレミリア。

なんだか妙だ。

そう思ったパチュリーはレミリアに問いかける。


「どうしたのよ?そんな事を聞いて」

「…なんか、変なのよね」

「変?」

「ええ。アイツ、さとりとこいしの古い友達…
つまり、結構な年配者。
つい最近の妖怪じゃない彼女が、そこまで弱くは無いはず…
少なくとも心を読める覚り妖怪なら、
一手一手読んで、まともに立ちまわれると思うのだけど…」

「そう言われてみると、
さとりも、初めて咲夜と弾幕ごっこをした時もそうだったわね。
でも、全部の覚り妖怪がそうとは限らないかもしれないわよ?」

「それも一理ある。でもさっきまで咲夜に怒りを向けていたあの姿、
とても強がりとか自信過剰とかその程度のものじゃなかった。
小物な気は全然しなかったわ。
それに、アイツは普通の覚りとは少し違うわ」


そう言いながら、さと見に目を向けるレミリア。
相変わらず咲夜の攻撃から情けなく逃げ惑うさと見の姿があったが、
レミリアは表情1つ変えなかった。


「(咲夜が有利なのに、全然嬉しく感じていないなんて…
何なのかしら?あの覚り妖怪…
それに、普通の覚りと少し違う?
どう言う事なのかしら?ちょっと、嫌な予感がして来たわね…)」


レミリアの様子を見たパチュリーは、徐々に不安を覚え始める。

一方、決闘はやはり咲夜が断然有利であった。


「どうしたのかしら?
古明地姉妹のようには行かないんじゃなかったのかしら!?」


咲夜は何十本ものナイフを飛ばす。


「あわわ!」


これをさと見は慌てながら回避。
外れたナイフは全て地面に突き刺さる。


「ふぅ…いっ!?」


無事回避できてほっと胸を撫で下ろしたのも束の間。
いきなりさと見の目の前に咲夜が現れ、
片手に持ったナイフで突こうとして来たのだ。


「あぁぁ!…こんのぉ!!」


当たる寸前の所で回り込むように回避したさと見は、
そのまま後ろから咲夜に蹴りを入れようとした。
だが、咲夜はさと見の真似をするような動きで避けると、
さと見の尻の辺りを蹴り飛ばした。


「いったぁ―――!!」


蹴られた痛さに尻を押さえ、
さと見は悲鳴を上げて思わず飛びあがった。


「アッタタタ…クッソォ!そこ蹴るかよ…あれ?」


悪態を吐くさと見だったが、ふと周りの様子を見てキョトンとする。

何故なら、いつの間にか咲夜の姿が消え、
代わりに何十本ものナイフに取り囲まれていたのだから―――


「嘘…うわぁ―――!!」


とその時、さと見を取り囲むナイフが、一斉にさと見目掛けて飛んで来る。
幸い円状にしか取り囲まれていなかった為、
さと見は真上に飛ぶ事によって回避出来た。

だが―――




「あイタ!な、なに!?」


突然頭に尖ったものがぶつかる。
ぶつかっただけで刺さらなかったばかりか消えた為、
ナイフでは無い事はすぐに分かった。
しかし、それだけでは正体が分からないさと見は、頭上に目をやる。

すると、上からクナイ型の弾が雨のように降って来ているのが分かった。


「ゲッ!うわっ!ひえぁっ!!」


それに気付いたさと見は、雨のように降って来る沢山クナイ型の弾の合間をぬって避ける。
だが、隙間無く並んでいる弾が幾つかあり、
さと見はその弾に何度かぶつかってしまう。


「わ!ぎゃっ!うっ!」


怯むさと見。

次の瞬間―――!




「はあぁ―――っ!」

「!?うぎゃあー…!!」


ヒューン…ドぉン!!

その瞬間を待っていたと言わんばかりに、
咲夜がさと見目掛けて真上から急降下キックを叩きこんで、さと見を撃墜。
さと見は地面に叩き付けられ、その衝撃で彼女の辺りに土煙が巻き上がる。


おぉ―――!!


咲夜の戦術に妖精メイドは歓声を上げる。


「時を止め、周りにナイフを置き、
万一上に逃げられたとしても、真上から別の弾を降らせて攻撃。
そして、相手が弾にぶつかって怯んだ一瞬の隙に自ら突っ込んで叩き落とす…
見事なものね」


咲夜の戦い方を評価するパチュリー。
同じく見ていたレミリアは、こう言った。


「でもこれ、
相手が避けられないような弾幕を張ってはいけない、
スペルカードルールに反する戦術よ。
こんな事をするなんて、
咲夜も本気でアイツの言う様な決闘をやってるみたいね。
でも…」


それでも腑に落ちないレミリアは、
叩き落とされ、土煙に包まれたさと見に目をやる。

しばらく見ていると、土煙は収まり、
中から仰向けに倒れ、土煙で服を汚したさと見が姿を現す。


「う…うぅ…」


苦しそうに唸るさと見。
そんな彼女の下に、咲夜が降りて来て、
倒れたままのさと見の前にナイフを向ける。


「っ!!」

「勝負合ったわね。
古明地姉妹のようには行かない…
最初にああ言ったのはなんだったのかしら?」


冷たい目で見下ろし、喋る咲夜。
しかしさと見は怯む様子は余り無く、静かに口を開く。


「………随分と喜んでいるわね」

「は?」

「貴様の心がよ…
アンタ、やっとこの時が来た…みたいな事考えてるわね?」

「それが…なに?」

「それだけ邪魔な訳?
覚り妖怪が…
そんなに気に入らない訳?
私がレミリアと親しく接していたのが…」

「…………」

「答えないでも分かるわよ。
確かに心を覗かれるなんて、気分悪いでしょうね。
でもさ、私ら悪気ないから…
それがアイゼンティティになってるから。
ちったあそれくらいも視野に入れて考えて欲しいものね。
自身の能力を恐れられた嫌われ者さん…」

「嫌われ者の妖怪に言われたくない」

「それはアンタやアンタの主人だってそうでしょう?
つーか、何処までレミリアの事想ってんの?」

「それはもう分かっているでしょう?
わざわざ聞かないで…」

「ふーん…そこまで好いてるんだ…
だから、私らにレミリアを盗られたくないの?
ふざけなでよね。
私もさとりも、アンタからレミリアを盗ろうなんてこれっぽっちも考えて無いわよ」

「…お前は、しばらく喋れないようにした方が良さそうね」


そう言って咲夜は、さと見の喉元にナイフを突き付けた。


「へぇ…言われたくない事言われたから、喉切って口封じって訳?
さっきから勝手過ぎない?
そうまでして、自分の本音をもらされたくない…
聞きたくも無い…
ふんっ!今まで私らを迫害してきた奴らに近い考えね、アンタ…」

「………」

「でも良いわ。どう見ても勝負付いてるし…勝手にしなさいよ…」

「じゃあ、望み通り…!」


と、さと見の喉を斬ろうと突き付けるナイフを構える咲夜。

思ったよりも早い決着に、
一同は拍子抜け半分、期待半分に静かに見守る。
一方で、レミリアとパチュリー、
背が高い妖精メイドだけは未だ真剣な表情を浮かべる。

そんな中、ついに咲夜はさと見の喉元目掛けてナイフを振う。








だが―――!



ガッ!


「なっ…!?」

『!?』


次の瞬間、咲夜や背の高いの以外の妖精メイド達は驚き目を丸くした。
何故なら、
さと見が咲夜が自らの喉元目掛けて振ったナイフを、
右手―――
しかも人差し指と中指だけで受け止めていたのだ!


「フフフッ…」


ニッと口元を歪ませ笑うさと見。
咲夜は振り払って斬りつけようとナイフを持つ手に力を入れるが、
全くビクともしない。
それどころか、
さと見はナイフを受け止めたままの姿勢で、ゆっくりと立ち上がる。


「!?」


予想外のさと見の力に、
驚くばかりの咲夜。
そして彼女を面白がるような表情を浮かべながら、
さと見はこう言った。


「本気で勝手にしなさいと考えていると、
思っていたのか!
残念嘘。私は負ける訳にも行かないし、
勝ちを譲る気もありませ〜ん!」


豪語するさと見。
そんな彼女を、咲夜はキッと睨みつけ、
さと見はその心を読み取る。


「"まさか…さっきまでのはお芝居だった"だって?
ああそうよ。
今までの情けないはぜーんぶ演技。
貴様のバトルスタイルを調べる為、手ぇ抜いてたのよ!!」


ゲシッ!

と、さと見は咲夜の腹に蹴りを入れた。


「うぐっ…!」


咲夜は腹を押さえ苦しむ声を上げながら、
後ろに下がる。
その際、持っていたナイフをうっかり手放してしまった。


「よっ!ほっと!」


それを見たさと見は、
咲夜の手を離れ、
地面に落ちようとしたナイフをサッカーボールのように宙に向かって蹴り上げると、
パシッと左手でキャッチ。

一方、咲夜は痛みの残る腹を押さえ少しだけ苦しんでいる。
その隙にと言わんばかりにさと見は彼女に近付くと、
彼女の顔付近でヒュッとナイフを振るった。


「!!」


その瞬間、右頬に何かを感じ目をやる咲夜。
すると、右頬に横一文字の傷が出来、
赤い血が流れ落ちる。

生暖かい血液が流れ出た感触と、
傷の痛みに咲夜は思わず傷口に手を触れる。


「ええ!?嘘ぉ!?アイツ、咲夜さんに傷を…!」

「手を抜いてたって事は、咲夜さんナメられてたわけ?」


このまま終わったかと確信していた背の高い方以外の妖精メイド達は、
一気にどよめきだす。

一方、レミリアは特に驚いている様子は無い。

むしろ、思った通りといった表情だ。


「やっぱり。アイツ、手を抜いてたか」

「となれば…ここからが本番って事になるのかしら?」

「そう言う事ね。
まあ、アイツがどんな事をしても、
そしてどんなに強くても、咲夜には勝って欲しいわ」


そう言いながら咲夜を見守るレミリア。
いよいよ本番となった決闘。
果たして、勝者はどちらとなるのか?



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